本を入口にする、大人の将棋。やさしい入門ガイド
本を入口にする、大人の将棋。やさしい入門ガイド
仕事に追われる日々の中で、「何か新しいことに挑戦してみたい」「頭の体操になるような趣味が欲しい」とお考えになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。体を動かすアクティビティや創作活動も魅力的ですが、じっくり腰を据えて知的な探求ができる趣味も、大人ならではの楽しみがあります。
そんな趣味の一つとして、近年再び注目を集めているのが「将棋」です。古くから親しまれている日本の伝統的なボードゲームですが、単なるゲームとしてだけでなく、思考力や集中力を養い、論理的な考え方を鍛えるツールとしても有効です。
しかし、「将棋は難しそう」「ルールも駒の動かし方も全く知らない」と感じ、始めるのをためらっている方もいらっしゃるかもしれません。手軽に始められる趣味を探している方にとって、将棋はどのように取り組み始めれば良いのでしょうか。
将棋を「本」から始めるメリットとは
新しい趣味を始める際、まず何から手をつけて良いか分からないという壁にぶつかることがあります。特に将棋のようにルールや戦術が複雑なものの場合、体系的に学ぶことが重要になります。そこで役に立つのが、将棋の入門書や実用書です。
将棋を本から始めることには、いくつかの大きなメリットがあります。
- 体系的に学べる: ルール、駒の動かし方、基本的な戦術、詰将棋(相手玉を詰める問題)など、将棋の基礎を順序立てて分かりやすく解説している本が多くあります。独学でも、段階を踏んで理解を深めることができます。
- 自分のペースで進められる: 本であれば、自分の理解度に合わせて読むスピードを調整できます。難しい部分は繰り返し読んだり、疑問点をじっくり考えたりしながら進められます。
- 必要な知識が網羅されている: 入門書には、将棋盤や駒の名前、対局の基本的な流れ、反則など、始めるために知っておくべき情報が一通り揃っています。
- 手元に置いていつでも参照できる: 対局中や復習したい時に、すぐに手に取って確認できるのは本の強みです。
書店には、全くの初心者向けに駒の動かし方から丁寧に解説した「超入門」のような書籍から、手筋(部分的な攻め方や守り方のパターン)や定跡(序盤の基本的な指し方)に特化したもの、簡単な詰将棋問題集まで、様々なレベルの書籍が揃っています。まずは、「駒の動かし方から分かる」といった副題のついた入門書から手に取ってみるのがおすすめです。
まずは何から? 将棋のやさしい始め方
将棋を始めるために、必ずしも特別な道具や環境が必要というわけではありません。手軽に一歩を踏み出すための方法をご紹介します。
- ルールを覚える: これが第一歩です。先ほどご紹介した入門書で、駒の種類とその動き方、勝敗の決まり方、引き分けになる場合などを学びましょう。焦る必要はありません。一つずつ駒の動きを理解していくことから始めます。
- 道具を揃える(または代替する):
- 将棋盤と駒: 最も本格的な形ですが、初めてならプラスチック製や木製でも安価な入門セットで十分です。折りたたみ式なら場所も取りません。
- 将棋アプリ: スマートフォンやタブレットのアプリで始めるのが、最も手軽で初期費用がかかりません。無料で利用できる高性能な将棋アプリが多くあります。ルール確認や詰将棋、コンピューターとの対局など、様々な機能が利用できます。
- 実際に駒を動かしてみる: ルールを覚えたら、実際に盤駒を使って並べてみたり、駒を動かしてみたりしましょう。アプリなら、駒の動きを教えてくれる機能があるものも多いです。
- 簡単な対局をしてみる: 初めから人間相手に対局するのはハードルが高いと感じるかもしれません。まずはアプリのコンピューターと対局してみましょう。レベル設定ができるアプリなら、一番弱いレベルから始めてみてください。最初は負けて当然です。駒の動かし方に慣れることを目標にします。また、詰将棋を解く練習も有効です。短い手数(3手詰、5手詰など)の簡単な詰将棋問題から取り組むと、詰みの感覚が養われます。
- 本でさらに学ぶ: 基本的な対局ができるようになったら、改めて入門書を読み返したり、次のステップとして簡単な手筋や定跡に関する本を読んだりして、知識を深めていきます。
初期費用としては、無料の将棋アプリであれば0円から始められます。入門書は1000円〜2000円程度、入門用の将棋セットも数千円で購入可能です。まずはアプリと入門書から始めてみるのが、最も手軽な方法と言えるでしょう。
将棋を続けることで得られる魅力
将棋は、知れば知るほど奥深い世界が広がっています。続けることで、単に強くなるだけでなく、様々な良い影響を生活にもたらしてくれる可能性があります。
- 思考力と集中力の向上: 局面を分析し、相手の意図を読み、複数の選択肢の中から最善手を見つけ出す過程で、自然と考える力と集中力が養われます。
- 論理的な問題解決能力: 将棋は論理のゲームです。「こう指せばどうなるか」を予測し、最善の戦略を立てる練習になります。これは仕事や日常生活での問題解決にも役立つ可能性があります。
- 先を読む力: 数手先、さらにその先の展開を予測する訓練は、計画性やリスク管理の感覚を磨くことにつながります。
- リフレッシュ効果: 日常の忙しさから離れ、盤面に集中する時間は、良い気分転換になります。一つの局面に没頭することで、ストレス軽減にも繋がることがあります。
- 礼儀と尊重の精神: 将棋には「よろしくお願いします」「ありがとうございました」といった挨拶や、対局中のマナーなど、礼儀を重んじる文化があります。相手への敬意を持つことの大切さを学ぶことができます。
- 新しい人との交流: 将棋道場やオンライン対局を通じて、様々な年齢やバックグラウンドを持つ人々と交流する機会が生まれます。
本と他の情報源を組み合わせて
本で基礎をしっかりと学ぶことは、将棋の世界への最初の一歩として非常に有効です。それに加えて、現代では様々な情報源を活用できます。
YouTubeには、プロ棋士やアマチュア強豪による将棋講座や実況動画が豊富にあります。駒の動きや戦術を視覚的に理解するのに役立ちます。また、多くの将棋連盟や関連サイトが、ルール解説や戦術情報を提供しています。
本で基本的なルールや考え方を学び、アプリで実践練習、動画サイトで具体的な指し方や戦術を学ぶ、というように、複数の情報源を組み合わせることで、より効率的に楽しみながら上達を目指すことができるでしょう。
まとめ:本を手に、将棋の世界へ
「将棋」と聞くと難しそう、敷居が高いと感じてしまうかもしれません。しかし、まずは一冊の入門書を手に取るところから始めてみれば、意外とスムーズに世界に入り込めることに気づくはずです。駒の動かし方から学び、簡単な詰将棋やアプリでの対局を試す。その過程で、将棋の奥深さや面白さに触れられるでしょう。
将棋は、年齢に関係なくいつからでも始められる趣味です。じっくりと考える時間を持つことは、忙しい日々を送る大人にとって、貴重なリフレッシュとなり、新たな発見をもたらしてくれるかもしれません。ぜひ、本を最初のガイドにして、将棋の世界への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。