本を入口にする、大人のデジタルイラスト。描く楽しさを知るやさしい始め方
本を入口にする、大人のデジタルイラスト。描く楽しさを知るやさしい始め方
何か新しい趣味を始めたいけれど、何が良いか分からない。仕事に追われる日々の中で、手軽にリフレッシュできる時間を見つけたい。そうお考えの方にとって、「描くこと」は心を満たす豊かな時間の過ごし方となるかもしれません。そして今、紙とペンだけでなく、デジタルツールを使って絵を描く「デジタルイラスト」が、多くの大人の趣味として注目されています。
デジタルイラストは、一度環境を整えれば、場所を選ばずに始めやすく、描いた絵の修正が容易であるなど、アナログにはない多くのメリットがあります。しかし、様々なソフトや機材があるため、「どこから手をつければ良いのだろう」と迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、デジタルイラストを「本」を入口として始める方法に焦点を当て、その魅力と具体的なステップをご紹介いたします。
なぜデジタルイラストを「本」で始めるのがおすすめなのか
デジタルイラストは、PCやタブレット、専用のペンタブレット、そしてペイントソフトが必要となります。特にデジタルツールに慣れていない場合、これらの初期設定や基本的な操作方法を理解するだけでも、戸惑うことがあるかもしれません。
このような時、一冊の入門書や解説書が、あなたの強力なガイドとなります。
- 体系的に学べる: 本は通常、デジタルイラストの基礎から応用まで、順序立てて解説されています。ツールの選び方、ソフトのインストール方法、基本的なブラシの使い方、レイヤーの概念、色の塗り方など、必要な知識を体系的に習得できます。
- 自分のペースで進められる: 本であれば、いつでも好きな時に開いて、自分の理解度に合わせて読み進めることができます。分からない部分は何度でも読み返すことができ、焦らずじっくり取り組めます。
- 信頼できる情報源: 数多くの情報が溢れるインターネットに対し、出版されている書籍は内容が吟味されており、信頼性の高い情報源と言えます。特に初心者にとっては、誤った情報に惑わされるリスクを減らせます。
- 具体的な練習方法が示されている: 多くの入門書には、実際に手を動かして練習するためのチュートリアルや課題が掲載されています。「次に何をすれば良いか」が明確なので、迷わず実践に移ることができます。
どのような種類の本を選ぶかによって、得られる知識やスキルは大きく異なります。
- 超初心者向け入門書: デジタルイラストの全体像や必要な機材の解説から始まり、特定のソフト(CLIP STUDIO PAINT, Procreate, Photoshopなど)の基本的な操作方法を丁寧に解説している本です。まずはここから始めるのがおすすめです。
- 特定のソフトに特化した解説書: 特定のソフトの機能を深く掘り下げたり、特定の機能(ブラシ設定、3Dモデル活用、アニメーション作成など)に焦点を当てたりしています。
- 描画テクニックや理論の本: 人物の描き方、背景の描き方、色の使い方、構図など、イラストレーションの技術や理論に特化した本です。
- 特定のテーマの描き方本: 動物、風景、食べ物など、特定のモチーフの描き方に絞った本です。
まずは、ご自身の興味や使用を検討しているソフトに合った「超初心者向け入門書」を一冊選んでみることから始めてみてはいかがでしょうか。書店で実際に手に取ってみたり、オンラインでレビューを確認したりしながら、解説が分かりやすいと感じる本を選んでみてください。
手軽に始めるための具体的なステップと初期費用
デジタルイラストを始める上で、初期費用が気になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、工夫次第で費用を抑え、手軽に始めることが可能です。
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必要な道具を知る:
- PCまたはタブレット: 現在お使いのPCやタブレット(iPadなど)が利用できるか確認しましょう。高性能なものである必要はありませんが、使用するソフトの推奨環境を満たしているか確認が必要です。
- ペンタブレット(液タブまたは板タブ): これがデジタルで描くための主要なツールです。
- 液タブ(液晶ペンタブレット): 画面に直接描けるため、直感的ですが比較的高価です。
- 板タブ(板状のペンタブレット): PC画面を見ながら描きます。慣れが必要ですが、液タブに比べて安価でコンパクトなものが多いです。初めての方には、比較的安価な板タブをおすすめします。数千円から購入できる入門用の製品も豊富にあります。
- ペイントソフト: 絵を描くためのソフトウェアです。
- 無料ソフト: GIMP, Krita, ibisPaint (スマホ/タブレット向け) など、高機能な無料ソフトも存在します。まずは無料ソフトから試してみるのも良いでしょう。
- 有料ソフト: CLIP STUDIO PAINT, Procreate (iPad), Photoshop, Illustratorなどがあります。CLIP STUDIO PAINTやProcreateはイラスト制作に特化しており、多くのプロも使用していますが、買い切りまたは月額制など、費用がかかります。しかし、初心者向けの機能も充実しており、学べる情報も豊富です。
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初期費用を抑えるには:
- 手持ちのPCやタブレットを活用する。
- まずは安価な板タブから試してみる。
- 無料のペイントソフトを利用する。
- 中古のペンタブレットを探してみる。
最も費用を抑える方法としては、「お持ちのスマホやタブレットに無料のお絵かきアプリ(ibisPaintなど)をインストールし、100円ショップなどで購入できるスタイラスペン(高機能なものが必要な場合もあります)で試してみる」という方法もあります。本格的な描き心地とは異なりますが、「デジタルで描く感触」を手軽に体験できます。
- 最初のステップ:
- まずは購入した(またはダウンロードした)ソフトを起動し、本の指示に従って基本的なインターフェースやツールの使い方を学ぶことから始めましょう。
- 本に載っている簡単な線の練習や図形の練習をしてみます。
- 好きなキャラクターや物の簡単な模写から始めてみるのも良い方法です。初めから完璧を目指す必要はありません。デジタルツールに慣れることを目標にします。
デジタルイラストの魅力と継続するメリット
デジタルイラストは、単に絵を描くという行為を超えて、日常生活に様々な良い影響をもたらしてくれます。
- リフレッシュと集中: 仕事の合間や一日の終わりに、好きな絵を描く時間は、集中力を高め、日常の喧騒から離れて心をリフレッシュさせてくれます。無心になって線を描いたり色を塗ったりする時間は、瞑想にも似た効果をもたらす可能性があります。
- 創造性の刺激: 頭の中に描いたイメージを形にするプロセスは、創造性を刺激し、新しい発見に満ちています。試行錯誤しながら作品を完成させる喜びは格別です。
- 表現の幅広さ: デジタルツールを使えば、多様なブラシやテクスチャ、鮮やかな色彩を簡単に扱うことができます。アナログでは難しかった表現にも挑戦でき、自分の世界観を広げることができます。
- 記録と成長の実感: 描いた絵はデータとして保存されるため、いつでも見返すことができます。初めに描いた絵と続けていくうちに描けるようになった絵を比較することで、ご自身の成長を実感でき、モチベーションの維持に繋がります。
- 新しい繋がりの可能性: 完成した作品をSNSなどで公開すれば、他のイラストレーターや絵を見るのが好きな人々との新しい繋がりが生まれる可能性もあります。
本で基礎を学んだ後は、インターネット上のチュートリアル動画(YouTubeなど)やオンライン講座などを活用することで、さらに表現の幅を広げたり、特定の技術を習得したりすることも可能です。本で得た体系的な知識を土台に、これらの情報源を組み合わせることで、より効率的にスキルアップを目指せるでしょう。
まずは一冊、扉を開くことから
デジタルイラストは、始めるのに少しハードルを感じるかもしれませんが、その一歩を踏み出してしまえば、無限の可能性が広がる魅力的な趣味です。そして、その最初の一歩を、分かりやすく手厚くサポートしてくれるのが、入門書や実用書です。
まずは書店やオンラインストアで、気になるデジタルイラストの入門書を手に取ってみてください。解説が丁寧で、自分が使いたい(または使ってみたい)ソフトに対応しているかを確認してみるのが良いでしょう。
高価な機材をすぐに揃える必要はありません。手持ちのツールや安価なペンタブレット、無料ソフトから始めてみて、本の指示通りに簡単な線や形を描くことから始めてみましょう。完璧を目指すのではなく、「描くことを楽しむ」という気持ちを大切にしてください。
一冊の本が、あなたの新しい趣味への扉を開き、日常に彩りとリフレッシュの時間をもたらしてくれるはずです。